Q1 報道を見ていると、少年事件が増加、凶悪化しているようで心配です。
A 様々な統計を見る限り、少年事件は平成の30年間、少年の人口減以上に減り続けています。凶悪犯と累計される事件の発生も減っています。一方、件数が減っているからこそ、これまで以上にそれぞれの事件を丁寧に取り扱い、再非行を防止するための取り組みが必要となっています。
Q2 △△県に住んでいる子どもが東京へ遊びに行って事件を起こしました。裁判(少年審判)は東京で行うのですか。
A 少年事件を担当する裁判所は、法律違反を犯した場所を担当している家庭裁判所だけでなく住所地などで行うことができます。適正な審判を行うため、少年の地元に移って少年審判が継続されることもあります。
Q3 家庭裁判所調査官から呼び出しを受けました。今後どうなるのですか。
A 多くの場合、指定された日に、少年と保護者が家庭裁判所に出向いて家裁調査官の面接を受けることになります。面接では、事件(非行)の内容、家庭、友人や学校、仕事のこと、これまでの生活歴などが聴かれます。これは少年が非行に至ってしまった原因を探り、どうすれば再非行をせずに立ち直ることができるのか、手掛かりを得るために行われています。
Q4 審判不開始や不処分とは、どのようなものですか。無罪になったということですか。
A 審判不開始は審判をしない、不処分は処分をしないということです。もちろん、非行事実がなかった(無罪と同じ)ということで審判不開始や不処分になることもありますが、多くは、非行事実は認められるが、審判をするまでもなく(または保護処分をすることなく)立ち直りが期待できるという判断の下に行われる決定なのです。
用語から、家庭裁判所が何もしないまま少年事件を処理しているかのような誤解を与えてしまいがちですが、家庭裁判所が少年や保護者から話を聴くなかで、非行の内容や動機、家庭をはじめ、少年の性格、少年を取り巻く環境の問題点などを調べ、それを踏まえて裁判官や家裁調査官が訓戒や指導等の教育的な働きかけを行っています。また、少年や保護者がそれをどのように受け止めたかを見極めた上で、決定は行われています(そこに少年友の会も協力することがあるのです)。この場合は、非行事実はあったけれど、以上のような指導が行われたことで立ち直りが期待でき、保護処分にはならなかったということなのです。
Q5 保護観察決定を受けました。これは前科となりますか?
A 少年審判の結果、保護処分となれば、少年院送致を含めて警察の記録には残りますが、前科とはなりません。保護観察も保護処分の一つですから、同様に前科とはなりません。検察官送致となって刑事裁判を受け、有罪判決を受けたときは、前科として残ることとなります。