東京少年友の会理事長の挨拶
東京少年友の会の理事長の廣瀬健二です。当会のホームページをご覧いただきまして、ありがとうございます。
東京少年友の会は、昭和41年(1966年)4月に、令和6年(2024年)4月~9月放送のNHK朝ドラ「虎と翼」の主人公寅子のモデルとなった三淵嘉子判事、同ライアンこと久藤頼安のモデルとなった内藤頼博東京家庭裁判所長、三井明判事ほかの方々が、家事調停委員をはじめとする民間の協力者に呼びかけて創設されたボランティア団体です。当会は、皆様からいただいたご支援と、会員の努力による営みで、令和7年(2025年)には60年目を迎えます。
非行があったとされて東京家庭裁判所に送られて来る少年たちの中には、重大な非行を犯し、刑罰や保護処分が必要となる者もいますが、大半は、出来心やちょっとしたはずみで非行に走り、適切な指導や助言を受けて、機会を与えられれば立ち直っていくことができる者の方が多いのです。
そのため、東京家庭裁判所では、裁判官、家庭裁判所調査官などの職員の方々が、そのような少年たちに対する調査、審判を行って最適な処分を目指す過程で、少年たちが二度と非行に陥らず立ち直ることができように教育・指導の手当てもあわせて行っています。東京少年友の会が協力しているのは、この少年たちに対する教育・指導の活動です。これは、東京家庭裁判所が判断した、それほど非行が進んでいない少年たちに対して行われす。
活動内容の実際については、このホームページでも紹介していますが、少年友の会の会員の働きかけを通じて、自分のやってしまった非行が、どれだけ被害者に苦痛や損害を与え、周りの人たちに迷惑をかけたかを、少年自身に気づかせて内省を深めさせたり、少年友の会の会員たちと社会奉仕活動を一緒に行ったり、作業の手伝いをしてその方々から感謝されることなどを通じて、少年に、自分が社会の役に立つことができる、自分も人を喜ばせることができるとの自信を持たせたり、手に職をつけるための少年の就職活動を援助したりして、少年が立ち直ることを支援しています。
当会の活動資金は、一般の方々からのご寄付と会員の会費のみで賄っております。私たちの活動にぜひ皆様のご理解をいただき、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
東京会の活動紹介
付添人活動
少年の付添人として、少年鑑別所に入っている少年に面会したり、少年審判に出席したりします。その間に、必要に応じ、就労、住居探し等の支援をすることもあります。2023年実績9件。
就労支援活動
少年に同行し、少年がハローワークで求職の方法を学んだり、申込する場合の支援をします。また、履歴書の書き方、面接の受け方の基本について指導したりして、定職に就ける様支援します。2023年実績1件。
地域美化活動
少年と公園での清掃活動を会話をしながら行います。活動は少年の親、学生ボランティアも参加して大勢で行います。少年からは、終了後、清々しく達成感があった。との感想が述べられたこともあります。2023年度実績7回+雨天時;切手整理活動1回
高齢者施設での活動、車いす清掃活動
少年が施設で配膳の手伝いや、高齢者との会話等の活動をするため、少年を施設まで送り届けます。往復の電車内では会話をし、少年の気持ちをほぐしたり、終了後の感想なども聞きます。施設の利用者の車いすの清掃は、少年と一緒に行います。2023年の実績11件(うち車椅子清掃4件)。
親子ワーク
日常とは違う場所で、少年とその親数組が参加し、お絵かきゲームその他のワークや手作り昼食を楽しみます。学生ボランティアの進行により、いくつかのワークを行う中で、日頃は見えてこない少年とその親の持味や、良い点をお互いに発見してもらいます。2023年の実績1回。別に模擬ワーク2回。
ミニワーク・個別支援活動
ミニワークは、親子ワークの簡略版で裁判所内で短時間での個別対応で少年(親子)と行います。2023年実績1回。
個別支援活動は、オーダーメイドで少年と本を読んだり、ゲームをしたり、切手整理をしたりしながらコミュニケーションするものです。2023年は切手整理を1回実施。
親の会
少年の親同士の話し合いの会の進行を行います。少年への対応等での悩みを抱えて、対処に苦慮されている親御さんに集まって頂き、悩みを打ち明け、共有化し、話の中から、今後の少年への対応についてヒントを得て頂きます。2023年実績2回。
東京少年友の会立川会の活動紹介
付添人・就労支援活動
東京家庭裁判所立川支部に事件が送られてきた少年の付添人となって、少年鑑別所に入っている少年に面会したり、少年審判に出席したり、相談に応じたりします。
また、再非行の防止に向け、少年の希望する職種の仕事を見つけるための就労支援活動も行っています。2023年4件
社会奉仕活動
ほぼ毎月1回、八王子市内の公園での清掃活動を少年と保護者そして少年友の会会員で行っており、雨や猛暑の時は、使用済み切手整理活動に切り替えて実施しています。2023年10回
また、審判で奉仕命令を受けた少年の特別養護老人ホームなどへの往復に同行する活動も行っています。2023年3回
対人関係学習支援・親の会活動
「コミュニケーション1日プログラム」では、少年と保護者そして少年友の会の会員により、コラージュ製作・カレーライスづくり・ロールプレイにより、対人関係を円滑に進めるためのコミュニケーションのコツを学んでいます。「半日プログラム」ではロールプレーイングが中心です。2023年4回
東京会の歴史
◎ 東京少年友の会は、調停委員や裁判所関係者により、昭和41年に設立されました。当初の事業概要は、①補導委託先の充実強化 ②少年の帰住旅費、就職支援金の援助 ③表彰、見舞い等でした。当時、家庭裁判所の試験観察中に、更生のため少年を預かる民間の補導委託施設に金銭的にゆとりはなく、住環境も決して良いものとはいえませんでした。また、少年鑑別所や少年院入所時に着替えなどがない、出所後も家に帰る旅費のない少年たちが大勢いました。そのような少年や施設に対して、物心両面の支援を行うのが目的でした。
◎ 翌昭和42年には、少年の短期合宿補導施設として、篤志家から家屋を無償で借り「本納寮」を開設しました。この施設への受託少年は、昭和51年に閉鎖されるまで1000名を数えました。また、資金集めのためのバザーも開催され、これは今日まで続いています。
◎ 昭和44年からは、女子の補導委託先(ルンビニホーム、寄居少年塾、清進寮)で手芸や生け花の指導活動を開始しました。その後、コーラスや絵画指導も加わりました。
◎ 昭和47年には、当時の交通違反少年の急増を受けて、少年交通教室が開設され、二輪違反少年、四輪違反少年及び無免許少年の一日講習の受託が開始されました。その後、自動車教習所の協力や自動車会社からの自動二輪車の寄贈を得て、実地(実技)講習も始まり、平成25年まで交通講習として続きました。
◎ 昭和48年には、学生ボランティアによる在宅試験観察中の少年たちに対する学習指導や友達活動が開始されました。
◎ 昭和53年には、少年短期補導合宿施設として「秩父寮」を寄居町に設置し、東京家裁から補導委託先として認可を受けました。また、交通教育映画「無免許運転―その後に残るもの―」を東映株式会社教育映画部と契約して作成しました。この映画は文部省選定映画となりました。同年、東京少年友の会の中に八王子支部に対応して活動する八王子会が誕生しました(平成21年に、裁判所の支部の移転に伴い立川会となりました。)
◎ 平成元年ころから、少年が老人ホーム等でボランティア活動をする社会奉仕活動(以前より事実上行われていたもの)が本格的に始まり、友の会は、そのサポートをしてきましたが、平成17年からは地域美化活動(公園清掃)が加わりました。その雨天用代替プログラムとして、切手整理活動も行われるようになりました。
◎ 平成22年には、少年の問題で悩む親への対応として、「保護者の会」の活動を開始しました。これは、成人年齢が18歳になってからは「親の会」と名称を変えて実施しています。
◎ 平成23年には、学生ボランティアが東京キワニスクラブから「青少年教育省優秀賞」を受賞しました。
◎ 令和4年には、SNSを使った非行が増加したことを受けて、学生ボランティアが中心となってSNSに関する注意点を少年に考えさせるSNSワークを実施しています。
◎ 社会の変化により、少年非行の内容も変わってきています。東京少年友の会は、このように、時代の変化に対応して、少年の立ち直りに対する支援活動を多様化させ、深化させつつ継続してきました。これからも、皆様のご理解ご支援をいただきながら、活発な活動を行っていきたいと思います。